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離婚するための手続
離婚には大きく分けて3つの手続があります。
協議離婚、調停離婚、裁判離婚の3つです。
このページでは、それぞれの手続についてご説明します。
協議離婚
協議離婚は、離婚すること自体も離婚の条件も両方合意できる場合に、裁判所の手続を利用せずに離婚する方法です。
協議離婚のメリットは、時間。つまり、合意すればすぐに離婚できることです。
逆にデメリットは、合意内容を公正証書にしていない限り、養育費などの約束が守られない場合は裁判などの法的手続をとらなければならない不安定さです。
ただし、離婚条件を公証役場で公正証書にしておけば、その合意書は確定判決と同じ効果を持つため、約束が守られなければ給料の差し押さえなど強制執行の手続をとることができます。
また、ほかにもデメリットとして、弁護士を代理人にたてない限り、ご自身が直接相手と離婚の交渉をしなければならないという点も挙げられます。
調停離婚
そもそも離婚自体を相手が承諾していない場合や、離婚することは承諾していてもその条件を折り合えない場合は、家庭裁判所で離婚調停を行います。
離婚調停では、申立人と相手方それぞれから調停委員という人が話を聞いて、合意に至ることができないか調整していきます。
この手続のメリットは、直接相手と顔を合わせずに手続きが行えることと、中立な第三者である調停委員を間に入れることができるため、冷静な交渉を行えることです。
他方、デメリットは協議よりも時間がかかってしまうことです。調停は基本的には月に1回しか行われず、話ができるのも2回程度であることが多いため、なかなか離婚の話が進まずに時間がかかってしまうことうこともよくあります。
離婚調停になった場合、早ければ2回で終わるということもありますが、4回から8回程度かかることも多く、その場合は6か月から1年程度はかかってしまうということになります。
また、調停はあくまで合意形成のための話し合いの場なので、相手と条件がどうしても折り合えなければ、調停が不成立となり、時間をかけても離婚できずに裁判離婚に臨むしかないということもありえます。
裁判離婚
離婚調停でも合意に至らない場合は、離婚訴訟を提起して裁判離婚に移ります。
この手続では、法律が定めている離婚原因に該当することが認められれば、仮に相手が離婚に承諾していなくても判決で離婚することができます。
また、相手が離婚には承諾しているけれども条件が合意できないという場合でも、判決で条件を決めたり、訴訟の間に条件が合意に至ることがある点に特徴があります。
この手続のメリットは、法律に定めたの離婚原因(法定離婚事由)さえあれば強制的に判決で離婚を決められたり、離婚条件についても判決で何らかの結論が出るということです。
他方デメリットは、手続が複雑であるため、進めるには弁護士を代理人にたてる必要があるので、費用が掛かることです。
協議離婚 | 調停離婚 | 裁判離婚 | |
離婚すること | 合意している | どちらもある | どちらもある |
離婚の条件 | 合意している | 合意できない | 合意できない |
法定離婚事由とは
裁判離婚の手続に入った場合、相手が離婚を拒んでいれば、法定離婚事由がなければ離婚することはできません。
法定離婚事由は民法770条に規定があり、以下のものとされています。
(裁判上の離婚)
第七百七十条 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
一 配偶者に不貞な行為があったとき。
二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
一般に、第5号に書いてある「その他婚姻を継続しがたい重大な事由」を主張することが多いです。
具体的には、「長期の別居によって婚姻関係が破綻していること」を理由にすることが最も一般的です。
長期の別居とは5年程度が一般的とは言われますが、実際はケースバイケースで、もっと短い期間の別居でも婚姻関係破綻が認められたケースがあります。
逆に、不貞行為を自らして別居に至ったような場合は、もっと長期の10年以上の別居が必要とされたケースもあります。
そのほかにも、1号から4号の離婚事由が定められています。
不貞行為
不貞行為とは、浮気相手や不倫相手との性交渉などのことです。
悪意の域
悪意の遺棄とは、民法に規定してある夫婦が同居し互いに扶助するという義務を放棄したような場合です。
具体的には、生活費を渡さないで困窮させるとか、理由もなく同居しないとか、逆に追い出すこと、健康なのに働かずに家にいて何もしないなどがあげられます。
ただし、これが認められるにはかなり立証のハードルが高いこともあります。
3年以上の生死不明
これも客観的に最後の音信から3年間生死不明であることを立証する必要があり、認められる事例が珍しい離婚原因です。
強度の精神病
これは精神疾患などが重大であることを意味しますが、実際は単に病気であれば認められるわけではなく、配偶者としてきちんとその後の生活などの準備を扶助したかなどが判断材料になることがあります。