よくある遺留分トラブル

遺留分や遺留分侵害額請求が問題となる場合、以下のような事例が挙げられます。

さまざまなトラブルの類型に応じて、どのタイミングで弁護士に依頼すべきかの判断が異なりますので、その一部をご紹介します。

請求する側のトラブル

遺留分侵害がありそうだが、やり方が分からない

相談事項

相続人の誰かや第三者に多額の遺贈が遺言でなされてしまい、遺留分が侵害されているように思えるが、実際どのくらいの侵害があるのか分からずトラブルになっている。

対応方法

まずは弁護士に相談のうえ、実際に遺留分侵害額請求権があるかどうかを見極め、必要があれば消滅時効が完成する前に内容証明に内容証明郵便で意思表示を行います。

時効成立前にどこまで調査ができるかどうかは事案によって異なるため、早期に弁護士に相談し、作戦を立てられるのがよろしいでしょう。

相手方が遺留分の支払を拒否している

相談事項

相続財産すべてが相続人の一人に遺言で遺贈された場合など、遺留分が侵害されていることは間違いないが、遺留分の支払を拒否している。どのように手続をとっていいか分からず、親族同士のトラブルなので心理的な負担もある。

対応方法

弁護士に依頼することで、遺留分侵害額請求の方法に誤りがないように通知することができます。

また、弁護士を通して交渉や調停、訴訟などを行うことで、心理的にも安心して取り組むことができます。

当事務所では、弁護士費用を事前に見積もり、費用倒れになる場合はその旨をお伝えしてご依頼をお勧めしない場合もあります。費用面でご不安な場合でも、このような場合は、まずは弁護士に相談されるのがよろしいでしょう。

遺留分侵害額請求後の話し合いが遅々として進まない

相談事項

遺留分があることは明らかであるものの、感情面でこじれてしまい、交渉する度にトラブルになってしまう。

対応方法

遺留分侵害額請求は、単に金銭請求をすればよいわけでなく、遺産の評価や特別受益などが問題になることが多々あります。そして、法律上の論点がある場合、感情面での主張をしてもまったく進まないことが多いです。

そのような場合、訴訟外でも訴訟手続き中でも、証拠によって法的な主張をする必要があります。法律上の論点がある場合は、専門家に依頼することで、自分の立場に立った有利な主張をすることができるでしょう。

請求された側のトラブル

遺留分侵害額請求をされたが、遺留分の計算がおかしい

相談事項

遺留分減殺請求の通知を受けたが、相手の弁護士が相手に有利な計算方法で遺産を計算しており、遺留分の評価額でトラブルになっている。

対応方法

遺留分の計算方法は、遺産総額に遺留分割合をかけることで算出されます。

しかし、遺産のうちに不動産など評価に争いがあるものが含まれていたり、特別受益などがあるとして遺産総額自体に争いがあることがあり得ます。

そのような場合は、法律上の論点を含む紛争になりますので、ご本人で対応するのは厳しい部分があります。調停や訴訟で後になって主張しにくくなる場合もあるため、専門家の助力を得ることが望ましいです。

遺留分侵害額請求の内容証明郵便が届いたが、話し合いが進まない

相談事項

遺留分侵害額請求について交渉をしているが、当事者同士のため感情面でのトラブルになり、適切な遺産の評価の方法なども分からないので話し合いが進まない。

対応方法

遺留分を請求された場合、話し合いが進まず弁護士に依頼される方はそれなりにいらっしゃいます。そして、上記のような論点がある場合は、争える余地があります。

もっとも、相手の請求を減額できる可能性が低い場合や、弁護士に依頼することでかえって感情的にこじれてしまい、解決が遠のくような場合には、費用対効果などを踏まえてご依頼をお勧めしないことがあります。

協議をしていても請求者の要求が強くまとまらない

相談事項

そもそも親族間のトラブルが多かったが、遺留分に関しても請求され、やはりトラブルになってしまった。相応の金額を渡す旨を伝えたものの、明らかに法定の範囲以上の請求をされていて、話し合いがまとまらない。

対応方法

こちらの主張が十分理由に基づくのに、交渉でまとまらないということもありえます。

そのような場合は、場所を裁判所に移すことで、終わりに見えない交渉を終わらせることができます。

裁判所での手続となると、証拠に基づいた主張が必要になりますので、弁護士へ依頼される方も多いです。

もっとも、費用対効果を考えて費用倒れになる場合は、事前に説明の上、お勧めしないこともございます。

よくある事例

遺留分の割合はどの程度か

遺留分の割合に関する一般的な計算方法について、詳しくは「遺留分侵害額請求権とは」のページをご覧下さい。

では、具体的な相続割合が各事例でどうなるのかは、以下をご覧下さい。

① 相続人が配偶者のみで、第三者にすべての財産が遺贈された場合

配偶者の相続分1×遺留分割合1/2=1/2

② 相続人が3人の子どものみで、そのうち1人にすべての遺産が相続された場合

子どもの相続分1人あたり1/3×遺留分割合1/2=1/6

③ 相続人が配偶者と子ども2人で、1人の子だけすべての遺産が相続された場合

配偶者の相続分1/2×遺留分割合1/2=1/4

子どもの相続分1/4×遺留分割合1/2=1/8

④ 相続人が配偶者と被相続人の父母で、母にだけすべての遺産が遺贈された場合

配偶者の相続分2/3×遺留分割合1/2=1/3

父の相続分1/6×遺留分割合1/2=1/12

⑤ 相続人が配偶者と被相続人の兄弟で、配偶者にだけすべての遺産が遺贈された場合

兄弟姉妹の相続分 なし

⑥ 相続人が母のみで、第三者にすべての遺産が遺贈された場合

母の相続分1×遺留分割合1/3=1/3

keyboard_arrow_up

0978335551 問い合わせバナー オンライン法律相談